江戸城プラモデル写真の加工

  今回は、江戸城プラモデルの写真を紹介することとします。幻のお城の姿は、香川元太郎氏などの著名なイラストレーターによる再現、CGでの再現、もちろん模型による再現もあるところです。
 上の写真はパナLX9で撮影した江戸城プラモでして、もちろん俯瞰で眺めるのが好きな方もいらっしゃるでしょうが、私の場合どんな姿で佇んでいたのか、その場での情景を見てみたいということに尽きると思っています。先日NHKBSで放送されたザ・プレミアム「二条城~戦国から太平へ~」で二条城天守(千田嘉博先生によると豊臣秀長の大和郡山城天守の曳家!)がCG復元されていました。ご覧になった方はお分かりになったと思いますが、このNHKのCGは空気の霞み具合もよく計算されていて、実際の風景に合成して、こんな感じに見えただろうなと納得させてくれるものとなっています。

 「うーんこりゃいい」それに触発されてしまいまして、上記の写真を本格的に加工して、CGのようにはできないのかと試みてみたのです。いわば、お城プラモCG、それが下の写真です。江戸城本丸を西側の吹上側から見たものとなっています。画面左から北桔橋とその枡形門、巨大な乾二重櫓、その背後に見えるのは五十三間二重櫓、そして天守、右端の三重櫓は菱櫓となっています。結局、情景に見せるためには、「霞み」がポイントであるなあと分かったのでした。
 ちなみに、旧ブログでたくさん上げていたお城プラモ写真は、NAVERまとめ記事やブログなどに使ってくれたりして、実は作者としては嬉しいのです。これも、フリーとしますので、当方への連絡も不要、どんどん使っていただいてけっこうです。(消してもいいけど、城男のネームを残しといてくれたら大歓迎です。)

東京マルイ姫路城を見てみる(その3) 屋根瓦の間隔

 前回に引き続き東京マルイ姫路城の再現度の検証を記事といたします。お城プラモをできる限り本物に(幻のお城ではかなわないことですが)忠実に再現したいと思ってつくってきましたが、あまり触れてこなかった重要な構成要素が、「屋根及び瓦」でして、ひとつには細かすぎて自作に自信がないというのもあって、正確なのかどうかに目をつぶってきた訳です。姫路城プラモとの一門

  旧ブログでは童友社1/350の屋根のピッチは1㎜が多いと書き込んでいましたが、東京マルイ姫路城の屋根瓦を調べるついでに、いろいろ測ってみようと思いました。小天守屋根比較

 まず、左の写真の手に取っているのは童友社1/350松本城の乾小天守の屋根です。姫路城東小天守の屋根と同サイズのようで比較にいいでしょう。古い童友社キットの屋根は入母屋軒の掛け瓦が長くバランスはあまり良くありません。降り棟から直接出ていると解釈したのが間違いの元だったのでしょう。真ん中の写真は、その乾天守の屋根の丸瓦の幅が何ミリの間隔(ピッチ)になっているのかを測ったものです。10本で12ミリですから、1.2ミリピッチとなります。右の写真は東京マルイ姫路城の屋根のピッチを測ったものです。10本で9ミリで、0.9ミリピッチです。(期待できますねえ、ちゃんと本物にあわせているのか?)西小天守模型

 写真(次の写真を含む)右の図面は、前回も引用した学研歴史群像名城シリーズ姫路城116,117ページ「姫路城保存修理工事報告書所収」の東面南面立面図の西小天守です。左写真が東京マルイ姫路城西小天守南面で、三重目屋根の降り棟の間の丸瓦が何本あるか数えてみますと、両方とも14本で正確です。(こんなのが私は嬉しいのです。ひゃっほー正しく作ってる!って)姫路城対照

 東京マルイ姫路城の屋根瓦は西小天守の図面比較して正確との結論としておけばよかったのですが、大天守も比較してしまったのでした。前回も少し触れました大入母屋屋根の棟の長さ以外にも大天守の屋根には相違点もあります。
 写真に記載しているように図面と比較すると四重目屋根の千鳥破風壁面下と三重目比翼入母屋屋根壁面下の屋根の入り込みが足りないこと、五重目屋根の降り棟の長さがやや長いことなどです。
 問題は、丸瓦の本数でして、五重目中央の降り棟と両側の降り棟の間にそれぞれ16本あります。右の図面を数えてみますと、17本あります。(ピッチが正確じゃなかったのか?)がっかりしかけましたが、よくよく図面と比べますと大棟の長さが東京マルイ姫路城のほうが短いように見えます。1ピッチ分両方に延長(改造でいえば一旦カットして間にはさむ)すれば正確な姿になるかも知れません。(改造可能となると私はなぜか納得してしまうのでした。ただし、大入母屋屋根延長は改造法が思い浮かびません。)キット瓦ピッチ比較

 今回のおまけは、童友社広島城、同1/350江戸城、同1/350大阪城の屋根の瓦ピッチがわかる写真です。左の写真は、広島城完成品の天守大屋根です。0.98ミリぐらいかな・・・降り棟間には17本あります。ええっと本物図面を数えるとげげっ19本(ううう・・数えるんじゃなかった・・・orz)、中央は江戸城の天守大屋根でして、1ミリピッチぐらい(本物の図面は存在しないからなあ、これでもいいわなあ)、右の写真は大阪城だけど、0.8ミリピッチ!(もう図面と比較する気なしになっています。)お城の屋根瓦のピッチというのは、平瓦のサイズもいろいろあるようで、均一ではないようですが、なにをもって、その幅を決めたんでしょうか、また調べておくこととします。
 今回は、広島城プラモ屋根が再現されていないのが判明して、かなり気落ちする記事となってしまいました。実物写真を仔細に見ればわかるもので、どこかお城プラモ=おもちゃの延長と思われているのでしょうか、1/350お城プラモに正確さを求めるのが間違っているのかなあという気分です。寛永度江戸城プラモデル

    最後の写真は、PanasonicDMC-LX9での撮影した江戸城プラモです。この写真が撮れたので少し気分は晴れたところです。

東京マルイ姫路城を見てみる(その2)

    今回の記事も、東京マルイ姫路城についてです。このブログを以前からご覧になっている方はおわかりでしょうが、当ブログは、お城プラモデルキットに対して、縮尺、天守及び周辺の形状、石垣のモールドなど非常カラい見方をとっています。お城は日本建築の華であり、西欧建築などと比べても遜色なく、日本人が誇りを持って後世に伝えていくべき日本固有の文化遺産です。その城の名をつけて販売するのですから、海外に紹介しても恥ずかしくないレベルのものにしてほしいと思うところです。
南東からの姫路城
 おいおい、そんなに大上段にかまえずとも単なるプラモじゃないかとも思うのですが、お城ファンであることのほうが、プラモデラーの部分を凌駕してしまっているので、お城プラモキットを実物との違いを残したまま完成させるのが楽しめなくなっているのです。(それはそれでめんどくさいことではあります。)おかんにより廃城

     これでも、小中高と飛行機プラモの合間に、お城プラモもたくさん作りました。覚えている限りでは、スタンダードで小田原城(小学生の頃に買った時には豆球の照明ギミックがついていました。)、岐阜城、名古屋城、大阪城、デラックスでは、熊本城、大阪城、江戸城、安土城、ジョイジョイの松山城、和歌山城、フジミの小倉城も・・・改造なんてしてないですが当時も石垣塗装には凝っていました。(「見せてみろ」ってですか?当時のお城プラモ完成品はすべて、我が家にいたお城プラモ攻城戦の名手「大阪のおかん」の手にかかって落城廃棄処分されています。)
姫路城模型全体平面
 さて、本題にもどります、1/350東京マルイ姫路城ですが、まずは土台から見てみましょう。上から撮影したもので、この模型は西側の「はの門」、「三国堀」、北は「北腰曲輪」、東は「井郭櫓」、南は「備前丸」を含めて、見慣れた天守への登城コースを意識しているのかと考えられます。備前丸の南西直下にある「ぬの門」は省略されています。
模型の範囲
 図面は、学研歴史群像名城シリーズ姫路城16,17ページ松岡利郎氏作成姫路城縄張図です。小天守群を含む天守曲輪台の形状は矩形でないことが確認できると思います。北面は天守南面に対し、並行でなく約4度傾いています。東小天守の北東角が鋭角(約87度)乾小天守の北西角でわずかに鈍角になって、西小天守の南西角も鈍角にしてズレを吸収して大天守に接続していくと言ったらいいでしょうか。東京マルイ姫路城がここをどうするのか興味があったのですが、再現はしていません。(ちなみに童友社最新の1/500姫路城も矩形となっていて再現されていません。)

 もともと防衛上の意図かなにかでこういう形状になったのかというと、そうではなく当時の石垣構築技術が矩形の天守台にできず、出来上がったものに天守曲輪建物を合わせたというのが正解でしょう。
三国堀から
 東京マルイ姫路城の写真を撮っていて、三国堀から天守をみたときに少し低いと感じたので、地面の高さについても調べてみました。標高についてはweb国土地理院地図に表示されるようになっています。備前丸標高45.9m(場所によって少し差はでますが)、三国堀横28.4mその差17.5mで1/350にすると50㎜です。東京マルイ姫路城のほうを測ってみますと、29.5㎜となっていて約2センチ高さが足りません。まあ、縄張図などで石垣高を記したものはありますが、地表面高を記した図面はないので、ここを正確に再現するのは難しいのでしょう。図面というよりか地図の範疇ですから。
姫路城天守東面南面
 次の図面は、学研歴史群像名城シリーズ姫路城116,117ページ「姫路城保存修理工事報告書所収」の東面南面立面図です。四重目に達する二重目の巨大な入母屋造の屋根で姫路城大天守の外見的特徴となっているところですが、南面立面図でみると武士の正装である裃の肩衣のように棟が外側水平に張り出しているのが分ります。実物姫路城大天守の写真を改めてよく見てみると、どっしりと収まった感じではなく、見上げるものに覆いかぶさるような緊張感を与える効果を狙っているのかも知れません。(ここまで張り出しているのは姫路城ぐらいかもしれません。)
P1000485東面修正
 東京マルイ姫路城と比べてみると赤色の部分が異なるところです。私のクセで比較しているとすぐにどう改造するか考えてしまいますが、図面でみると入母屋屋根の瓦も上部が広く下部にいくに従って狭く葺いていますので、単にプラ板で拡張するだけでは済まず、難しいところです。スライド金型を使わない通常のプラモのパーツは縦にプレスして作成されるので、この「オーバーハング」が再現されないのは仕方ありません。(お城プラモがガンプラなみに売れればスライド金型でのパーツ造りもできるんだろうけどねえ・・・)今回はここまでです。

東京マルイ姫路城を見てみる(その1)

 みなさま、あけましておめでとうございます。本年もお城プラモ築城の道のりをどうぞよろしくおねがいいたします。

 お正月はひさしぶりに映画を見てきました。評判の高い新海誠監督の「君の名は。」です。(「おまえのようなオッサンでもみるのか?」って、そりゃ、そこまで広がった大ヒット作って事ですよね。)それぞれのシーンの描き込みは、その場の空気感までを捉えていて凄く美しかったです。もちろんストーリーもよくって、アニメのいいところは、「これはアニメだから」という理由で、見てるほうも「こんなのありえない」というツッコミを封じ込めることができることですよね。なのでとても感動し、楽しめました。
 
 ところで、この映画の後半で、主人公の一人の立花瀧(絵が上手で建築好きという設定)が「誰かを探している」という思いに、自分の部屋で机に突っ伏しているシーンがありました。そして、その背後の床に、3段積みの箱があって、その上にプラモ塗料ビンらしきものが2つか3つ置いていて箱絵がお城に見えたのです・・・「お!お城プラモ作ってる」と思わず、私は嬉しくなってしまったのでした。これから又は再度見ようとしているお城プラモファンの方は、一度チェックしてみてくださいませ。%e5%9f%8e%e7%94%b7%e5%a7%ab%e8%b7%af%e5%9f%8e%e3%81%ab%e5%96%9c%e3%81%b6

 今回の記事は、先月購入した東京マルイの姫路城(1/350)の写真を紹介してみようと思います。発表時は、1/350スケールの完成城郭シリーズ第一弾ということで、発表アナウンスでは、今後、大阪城、名古屋城、熊本城、松本城を発売予定という事で期待は高まりました。今後の展開は姫路城の売れ行き次第でしょうけど・・・

 お城の模型は欲しいけど、プラモは作ったことがない、若しくは面倒で作りたくないといった方が購入されるのでしょう。43cm×36.5㎝で飾っておくにはいいサイズです。メーカー希望小売価格¥34,800(税別)で、うーん悩みどころ・・でも、ネットオークションに出品されてるプラモ完成品の価格帯とも微妙にからむ感じで、この際、未完成お城プラモキットとの比較をするべきではないでしょう。(東京マルイさん!組立キットならこの価格でも、私は逆に喜んで買います。透明ケースも化粧箱も要らない、ビニール袋にダンボール詰め、設計図は完成品の部分写真のみの限定サービスキットを出してください!!) %e6%9d%b1%e4%ba%ac%e3%83%9e%e3%83%ab%e3%82%a4%e5%a7%ab%e8%b7%af%e5%9f%8e001

 今回の写真は、買ってもらったPanasonicDMC-LX9での撮影です。撮影には同じPanaのDMC-G10という廉価版の一眼を使ってきました。私のお城プラモ写真は、基本室内撮りで、カメラについてるおまかせモード(iAというモード)の接写ではピントが奥まで合わないのです。マニュアルモードで絞り優先を使うと今度はホワイトバランスが合わず、その発色に困っていたのでした。なのでピーカン(古い言葉です)のお城写真で満足がいくものがなかったのです。(偶然撮れているものもありますが、なぜか再現できないという?写真の世界は深いです。晴天の富士山と駿府城天守がまず撮れていないですからねえ)lx9%e5%a7%ab%e8%b7%af%e5%9f%8e296

 このPanasonicDMC-LX9のいいところは、フォーカス合成という機能があることでして、どういう機能かというと、ピントをずらした4Kの連写をして、手前から奥までピントがあったものを後で合成して、パンフォーカスの写真を1枚作るというものです。たいていのカメラのうりには、「美しいボケ味」というのがありますが、私のような小さなプラモをあたかも本物のように撮りたい(自称)お城プラモ写真家には「ボケ」はいらんのです。

 話がカメラのほうにいってしまいましたが、次回以降この東京マルイ姫路城の細部に迫ってみます。